ソー活とかいうやつ。

そういえば就職活動は無事に終えた。実は年が変わるまで院への進学を意識していて、就職活動にシフトしたのはとても遅かったんだけども。就職活動、長かったように思えるかなと思いきや、普通に楽しかったので個人的にはもの寂しさすらある。結果的には数多くの企業を見てきたなかで、抜群に「ここにいきたい!」と思えるところにありがたく内定をいただいた。まぁ失敗か成功かでいえば、他人からはよく成功したといわれているみたい。ものごとを○か×か、成功か失敗か、いいか悪いかなんていう窮屈でナンセンスなものさしで測るのは正直好きじゃないんだけど、この約半年(震災もあったので実質3ヶ月くらい?)の就職活動に納得はしている。

そしてなにより、楽しみである!

「卒業後も楽しみに」
これが就職活動を始めるときに立てた目標なので達成はできた。うん、えらいえらい。

閑話休題




さて、「ソー活」なんちゅー言葉をご存知だろうか。

ググったらいろいろ出てくる。

「ソーシャル就活ナビ」
http://ja-jp.facebook.com/socialrecruitingnavi )

NEWSポストセブン「企業がFacebook利用して就活 流行の「ソー活」はとても滑稽だ」
http://www.news-postseven.com/archives/20110925_31928.html )

ワールドビジネスサテライト,1/13,「ソー活」vs「リクルーター
http://wbslog.seesaa.net/article/180575646.html )



(ぐぐって上から適当にのせました。)

とかなんちゃらかんちゃら。まぁ就職活動生なら一度は聞いたことがある(のか?)だろうし、まぁなんかこういま話題のfacebookソーシャルメディアとか使って就職活動をしよう的なムーブメントらしいわけ。
実際のところ、ぼく自身もどうやらそう呼ばれる種類の就職活動をしていた(個人的にこの呼び名はちょっと抵抗あるけど)ので、周りからその当時のお話を聞かれることが多い。
さきほども、2011年卒でありながら、いきなりアメリカにいっちゃった友達がこれから就活らしく、いくつか質問をいただいた。
今後、実はそういう話をひっさげて13年卒のシュウカツセイくんたちに講演をする機会があるので、忘れないようにメモにでもと、がんばってかいておく。

しかも調子こいてはてななんか使っちゃう。


どういう就職活動だったの?というのを簡単に話してみると、自分は二つの路線で就活した。ひとつはいわゆるリクナビシューカツみたいなもの。就活情報サイトに登録、ひたすら来るメールをちぎっては投げちぎっては投げ...面白そうな企業があったらストックし、会社情報などをチェック。そして興味が出たらエントリー。まぁこっから先はみなさん知ってるだろうし省略します。なんか説明会出てES書いて面接いってなんか内定やったーって感じ。

ただ、これじゃすんごいお金と時間がかかる。というか、めんどくさい。特に毎月ライフラインが止まるの止まっただの騒いでるレベルの貧乏学生なので出費がいたい。まぁでもいろんな場所には行けたし、いろんな会社のオフィスに入っておぉー...!!みたいに楽しめたけど、どうも自分のモチベーションがあがらない。毎週毎日説明会にESに面接に...もともとサボり症なのもあって、「まぁまだ次があるし」とかでだんだんダレてきてダメてきた。

もうひとつは騒がれてる方。いつもぼくはTwitterでちょこちょこ情報収集とかしょーもない情報発信なんかをしているんだけれども、そこでベンチャー企業と学生の飲み会があるという情報をキャッチ、「おー、おもしろそうなこともあるもんだ。」と思ってその場で参加表明したのを今でも覚えている。そこで出会った方(その飲み会の主催者さん)が最終的にはぼくの就職活動のメンターとなってくれましたとさ。※メンターっていうのはあれだよ...ググれよ...。
最初はその人にヒアリングを受け、傾向別につながっている企業を紹介してもらい、企業の方とお話しする場をセッティングしてもらい、とにかく人に会う!というかたちで進んでいきました。ベンチャーだとみんな勢いもあってキャラも濃く、とても楽しかった。個人的に起業じゃなくてもなんかでっかいサービスを創りたいと思ってたし、そもそもぐいぐい伸びてあっという間に状況が変わっていくベンチャー界隈を見ているのが好きだったので、これはもうほとんど趣味に近かった。
その間にもリクナビシューカツのほうもちょこちょこやってたけど、ぶっちゃけ「これはダメだな、やる気が起きん。」とブン投げた。
これがだいたい5月とか、6月頃だったかなぁ。震災の影響でかなりスケジュールにムラがあり、リクナビシューカツの方は結構ストレスになってました。


結論から言うと内々定(納得のいくもの)をいただいたのは7月の半ば。その企業を知ったのはたしか6月の終わりくらい...?というわけで認知から内々定まで二週間程度。なんとまぁ、なんとまぁ。実はこの認知の遅さにもあるように、このとき既にぼくの同期となる12年卒の内定者は内定者合宿ということでバリバリやって酒飲んでみんなで仲良くなってた。もちろんそれは会社情報を集めてたので知っていたし、個人的にこういう壁があると燃えてしまうタイプだったので問題はなかったんだけども、「正規採用活動後」のスタートになってしまったという点でメンターの方には難しい顔をされておりました。


んでまぁしっかりやって内々定にこぎつけたわけです。
この間、ぼくがなにか特別なことをしたかというと、特に何もやってないです。好きな会社だったので、会社や業界に関する勉強は楽しんでできたし、志望理由なんか喋らせれば延々と垂れ流す始末。自己分析も結構しっかりやっていたので、特になにか障害や困難は感じなかった。

まぁとにかく入り口はtwitterのたったひとつのツイートで、それを目にする情報収集、その場で即決させた反応速度と飛び込む度胸、そういうのがいわゆるソー活するにあたって大事なのかな、とか感じた。

んで。
実際にソー活をした(という自覚はないけど)感想というか思ったこと。

メリット/デメリットから。

メリット

1.相手との距離が近い。
会社にコンタクトをとり、接することになるとオフィシャルな機会ではない=プライベートな感じになる。というわけで相手と自分の距離が近いというのがまず出てくるんじゃなかろうか。企業対学生という構図よりは、個人対個人に持ち込める(可能性が高い)のがメリットかな。普段説明会だの面接だので理論武装しまくった学生と、それを見抜こうとする人事。これじゃどっちも得しない。もちろん仲にはすっっっっっごくフランクに、とてもよく接してくれる企業もあるにはあるんだけれども、学生がド緊張しまくりであんまり生かせてないなぁというのが実感。学生も企業側も、「聞きたいから聞く」っていう姿勢はとても大事なのかも。
ミスマッチが少ないというのもメリットと言えるかも。本音(に近い状態)でやりとりできるので、企業も学生も相手を見極めて相性の合う合わないを把握しやすい。


2.度胸がつく?
ほかにも度胸がつくというのも。「度胸がないとできないんじゃないの!?」とか言われても、そんなもん最初から持ってないのが普通で、いろんな人に会い、ダメだしされたりほめられたりしながら社会へ飛び込む度胸がついていくのである。※わたくしのことである。
こうやって飛び込んでいく学生は珍しくあるらしく、珍しい物好きの集りのようなITベンチャーに顔を出すと、すごい人たちがぞろぞろとやってきてお話をしてくれたり、こっちの稚拙すぎてどうしようもないモヤモヤ論を聞いてくれたりする。もちろんかれらには仕事があり、そんな長い時間はとてもじゃないがいただけない。ただごはんのついでだったり、仕事後の軽い飲み会だったり、面白半分で意外と付き合わせてくれたりする。そしてダメ出しをくれる。
すごい人であればあるほど、ぼくのようなぺーぺーな大学生との差はある。もちろん、こっちがどんなにかっこつけてもスーツにネクタイ、だけど下半身全裸。みたいに見えているであろう。ボカスカに痛いところを突かれてしまう。非常に論理的で、思考速度が速くて、人間的にポジティブで上昇志向で、なんというか優秀なのである。
一度、SEOを専門とするミドルベンチャーの経営者や役員の方々とお昼ごはんをご一緒させていただくことがあった。
どんな話が聞けるのだろうとわくわくしていったが、10分後にはぼっこぼこ(論理的な意味で)にされている僕の姿があった。就職活動も中途半端のびろんびろんで、ビジョンもなく(今の会社に出会う前だった)、ただなんとなくシリコンバレーかっけー、みたいなどうしようもない脳内だった。「君みたいなのはうちじゃ絶対にとらない」「足手まといにしかならない」「この業界やめたほうがいいよ」等々。そりゃぁ今考えれば自分だって当時の自分に正座させて2時間半くらい説教してやりたい。

でもその時のぼっこぼこは一方的にリンチ(論理的な意味で)されたわけではなく、しっかりと向かい合って殴り合い(論理的ry)をした結果だった。ぼくのパンチが当たらない(正確にいえば、ほとんど出した途端にカウンターされてた)だけで、ぼくが敵わなかっただけで、彼らはしっかりと向き合ってくれた。ごはんも一時間以上お時間をいただいた。
説教、痛いところをグリグリされたあとは、しっかりフォローとアドバイスもくれた。インターンのお誘いもくれた。(結局は行かなかったのだけれど)
後日ブログを見るに、どうやらその経営者の方も大学生時代(起業前)にDeNAの南場さんとお食事に行き、ぼっこぼこにされていたみたいだった。それで悔しいと思ったし、絶対同じ土俵で戦ってやる!という強い思いで頑張ってきたのだそうだ。
もちろん、ぼくも彼に惨めなくらいフルボッコにされ、そう強く誓った。なんだか、してやられたなぁ…と、本当にありがたいなぁと思う次第である。
そういう姿を見て、やっぱり大人の余裕というか、なんというか、かっこいいなぁとか思っちゃってモチベーションも上がる。叩かれる場としては、絶好なのである。


デメリット

1.いまのところ通用する企業が少ない。

それはそうだろう。会社の採用活動にもルールがある。それは学生の平等性を守るためでもあるし、公正なレースをするためでもある。例外的に企業に飛び込むのであれば、小回りの利きそうな企業を狙ったほうがいい。というか、相手がでかすぎると「ちゃんと最初から正攻法で受けろよ」ってなっておわる以前にそもそも機会がない。※わたくしのことである。やるならベンチャー、こじんまりとした企業がいいだろう。あんまり歴史のある由緒正しい業界だと門は開かない。例外的な奇策を受け止めてくれる企業に出会えるまでがんばろう。


2.勘違いするとひどい。

これが大きい。進む方向を修正してくれる存在がいないとキツい。というのも、この方法はメンターがいてこそ。学生単体で行うのは結構大変だと思う。
だいたいこれがひとりでできちゃう人脈や効率性の持ち主だったら、なにカツだろうがばっちり内定ゲットできるから大丈夫。そうじゃない人はまずメンターとなるべき人を捜す。
実はこれがソー活なんじゃないかと思う。



3.一部の人しかできない。

たぶん上の文章読んでも「そ、そんなのわたしには...」みたいな人が多いと思う。それはそうで、これは普通の人を採用するシステムではない(今のところ)。
わりとソーシャルとかSNSとかに精通して、ある程度使いこなしている人に焦点が当たってる。別にそれが差別だとか今から猛勉強しなきゃ内定こないとかではなく、そういう属性を持った人たちのひとつの手段であるにすぎない。もっと全体像をみよう。



すっくな!!
でも本当にこんな感じ。自分でやってるときには本当に趣味半分だったし、単純に楽しかった。



思うに、こういう特殊な採用活動は企業からすれば「ふるいかけ」なんだし、専門職用の選考フローなんて昔から展開されているんだし、特に驚くことではないような。また、とくに不安がるほど一般的ではない。
まぁそれでもソー活のハードルは下がっている。いろんな企業がこの流れに乗ってfacebookページで新卒にアピールしたりしてる。そうすると結局流れる人は多くなる訳だから、上の方で紹介した記事に「滑稽」とかいわれちゃう。つまりは人を絞り込むためのふるいかけなのに、みんなでやっちゃ意味がないだろう、ってことで。
でもそれも時代の流れ。いいんじゃないでしょうか。



「本当のソー活は、常にソー活の外側にある。」

もはやこのソー活っていう言葉を使うのが嫌なんだけども、仕方なく。
つまりこれらがどうして流行っているかというと、学生の中に「ハミダシ者」を求めているから。
もちろん新卒採用市場全体がそうか、と言われればそうではないのだけれど、自分が割と親しくしてもらっているIT、Web関連の市場ではそうだ。
企業の採用企画に携わったりもして、結局「意識の高い子がほしいよね」という結論にもなるのを何度も見た。
ここでの意識が高いというのは情報感度の高さや、新しいことに対する柔軟性・適応力でもある。別に学生団体の代表やサークルのリーダーとか大学祭実行委員会とか、ああいう揶揄されちゃう感じじゃなくてもいい、それであっても、意識が低いのよりは幾分マシだけど。
話がズレそうだ。

とにかくあまり大きくない規模で、そして新市場を現在進行形で開拓中している企業は採用する人員によってその先が大きく変わってくる。だからこそ学生とゼロ距離で採用活動を行っている(のだろう)。
別に学生のためであるだけでなく、企業のためにもそうせざるを得ない。そして、それができる。それだけだ。


そして最近やれフェイスブックだのTwitterだのが流行ってる。なのでウチもこれをやれば目立てる…!
なんていう企業が多い。SNS属性を持った学生が本当に必要なのかとか、いいとか悪いとかそういうのは置いといて。



何が言いたいかというと、ITベンチャーとかIT広告企業とか、そういった企業以外のソーシャルリクルーティングは、実はリクナビマイナビからフェイスブックに自社情報の掲載場所を移しただけなんじゃないの?ってこと。
裏側の話はわからないけど、リクナビ等の情報サイトに掲載するよりは掲載料かからないしやすく済むのかな。
まぁいいや。

詳しくは自分がそういうリクナビシューカツに代わりうるソー活をやってたわけでもないので知らないけど、フェイスブックtwitterも、リクナビマイナビも、結局はきっかけであり、目的地ではないよねってハナシ。
だからそんなに驚くことでもなんでもない。
だいたい、そういういわゆるソーシャルメディアを用いたところで説明会やってES書いて面接で…みたいな普通の就活だったら無意味。

本質的には、情報感度とゼロ距離の対話、そして度胸がソー活のキーであってほしいし、企業もそれを期待していると思う。


就職活動生として一番怖いのは「就活活動」にのめりこんじゃうこと。
手段の目的化は最も危惧すべきこと。


本当のソー活は、常に「作られたレール」の外側にある。