「置かれた場所で咲きなさい」に(おそらく若者が)感じる(であろう)違和感について。

「置かれた場所で咲きなさい」

時間の使い方は、そのままいのちの使い方。置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。
「こんなはずじゃなかった」と思う時にも、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです。

http://www.gentosha.co.jp/book/b5537.html


なるほどねえ。
実際、この本をちゃんと読んだわけではないので何とも言えないんだけど、
この「置かれた場所で咲きなさい」というのは、割と若い人に違和感を覚えさせる言い回しなんじゃないかと思うわけです。
もちろん、良いとか悪いとかはこの際なしでお話を進めます。

たぶんこのセンセイの言うことは間違っていなくて、それこそ学校の先生やお母さんからよく言われることをさらに分かりやすく言葉にしてくれているのだと思います。

それでもまぁ水を差すようで恐縮なのですが、個人的には腹落ち感があんまりない。
しっくりこないのです。違和感々。
若い世代には共感してもらえるかも知れないと思ってます。


というのも、「ゆとり」なんて言われちゃっていて、「どうなっているんだ最近の若いやつは」なんていう評価をおうえの方々からたくさん頂戴しているわけでありますけども、どうもこうも「置かれた場所で咲いてたら」こうなったんですが。みたいな。拗ねちゃいますよ。

もちろんその「咲く」というのが、ボーっと陽の光を浴びて、水をかけてもらって―なのか、深く根を伸ばして雨風に耐えてどうのこうの・・・なのかは個人レベルの問題ですけども。

ぼくらが義務教育という期間で評価されていた軸は「正解or不正解」「模範解答への近さ」など、結局「どれくらい言われたとおりにできましたか」という再現性の教育であるわけです。
置かれた場所で咲いてましょうね教育とでも言いましょうか。


先日の「新卒社員はどうして3ヶ月で辞めていくのか。とネタバレの世代について」(http://d.hatena.ne.jp/tklt_05/20130211/1360583804)にもつながってくると思うんだけど、隣の芝を自由に覗き見ることのできる我々ネタバレの世代からすれば、将来の見えない(≒上司の冴えない?)中途半端な状況下に置かれた状態で「頑張りなさい」なんていうのは、まんま苦行にしか聞こえないわけであります。
もちろん、下積みというのは生きていく上でほぼ例外なく確実に必要で、もちろん「置かれた場所で頑張り続ける」というのはとてもとてーーも重要なフェーズではあるものの、なんかこう納得できない釈然としない。

この本、このお話を賞賛しているのも、結構年齢としては上の方々が多いんじゃないでしょうか。
さらに言うと、ある程度年次を重ねて今の地位や生活を築き上げた、そんな方々が多いんじゃないでしょうか。
もしくはそうなりつつある方々とか?
煽るのはあんまり好きじゃありません。



でも遠まわしに「置かれた場所で咲きなさい(俺を見てみろ、俺みたいになれるぞ)」っていう風に聞こえます。
これはまぁ承認欲求というか、人間の性として仕方がないと思うんですけど。


もうちょっと若い人間向けに、あえて言うのであれば「咲きたい場所に行きなさい」くらいでいいんじゃないでしょうか。
こっちのがエキサイティングで、我々ゆとり世代の大好物であるように思います。
なんか夢追ってるし、諦めてない感出てるし。


僕らはまだまだたんぽぽの綿毛でありたい、風に乗って、咲きたい場所に根を下ろしたい。

そう思ってこの延々と続く今を、退屈で窮屈な"置かれた場所"で頑張ったりするんじゃないでしょうか。

10年ちょっと前と現在の若者の生活は、殊に「情報」「コミュニケーション」という点でまったく別物になっていると思うし、それこそ30年前と比べるべくもなく、将来花を咲かせる綿毛を運ぶ風は強く、そして自由になってきていると思います。


読んではないんですけど、たぶん本質的に大事なのは"置かれた場所で頑張る"ことではなく、"花を咲かせること"なのだと思ってます。そんでそんなことが書いてあるんだと思います。

一方で、咲き方は変わってないと思うんです。ただ、"どこに置かれるか"が増えてきてるんです。

もっと自由でいいんじゃないでしょうか。


とはいえ根を下ろしたら、花を咲かせるためにしっかり頑張りましょう。
「若い」というだけで、ぼーっとして咲けるほど簡単な土壌は、もうあんまり残ってないと思います。
なんせこれだけ風向きが自由なので。

飛んだらもうやるしかないですよね。

エキサイティングしましょう。


そんできっと、40年後くらいに「置かれた場所で咲きなさい」と、そのときの若い世代に説教垂れる感じになるのでしょう。


実に、いいと思います。




つってね。